2018.07.03
昨日、映画「羊と鋼の森」を観ました。
ピアノ調律師さんのお話です。
羊(ハンマー)が鋼(弦)を弾いて森(共鳴板)が響く。
映画では、ピアノの音が出る構造、仕組みを詳しく見ることが出来ます。
ハンマーを動かすアクションのパーツは53個。
細かい部品がそれぞれ噛み合ってハンマーを動かします。
ミリ単位の精密機器なんですね。
それを人の指先の微細な感覚、タッチで音色を作ります。
耳と指先の両方を研ぎ澄まして、ピアノの美しい音色が奏でられるんですね。
ピアノは温度や湿度でも微妙に音色は変わります。
ピアノは生ものですし、木のピアノは生きてますからね。
調律では弦の緩みを締めて音程を調節するだけでなく、ハンマーのフェルト部分の状態を1つずつ調整します。
教室のヤマハのC5はだいぶ弾き込んでいますから、音はよく鳴ります。
映画の中で、調律師さんの理想とする音を語る場面がありました。作家の原民喜の言葉を引用したものです。
原民喜は中学生の時に「夏の花」を読みましたが、今でもよく覚えています。
「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、厳しく深いものを堪えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」
ピアニストのリサイタルや、コンクールで時々胸をうつ音色に出会うことがあります。
1音1音が心に届くのです。
いつかそんな音が出せるといいですね。