2012.12.11
今年、83歳のイエルク・デムス、84歳のパウル・パドゥラ=スコダつづき、なんと!87歳のアルド・チッコリーニのピアノリサイタルに行ってきました。
3人のスーパーおじいちゃんを締めくくるに相応しい、森繁久弥ばりのお方。とにかく感動の2時間でした。
登場シーンは映画のよう。杖突いて背中丸め。時速1㎞の歩みで(普通は時速4㎞位?)とぼとぼ‥ようやく辿り着いたピアノの椅子の背もたれに手を置き、ゆっくりおじぎ。正面、右側、左側へと。そして、カフェでお茶でも飲むように、なにげなくピアノに杖を引っ掛け♪
シューマン「子供の情景」全13曲が始まります。シューマンが‥童心に返って子供の世界で無邪気に遊ぶ‥様を幻想的に描いた曲で、タイトルも「見知らぬ国から」「珍しいお話」「鬼ごっこ」「あねだり」「幸せいっぱい」「重大な出来事」有名な「トロイメライ」「炉ばたにて」「木馬の騎士」「むきになって」「怖がらせ」「子供は眠る」「詩人は語る」となっています。天真爛漫でわがままで甘えたり夢見たり‥子供の様子ではなく、自分が子供だった頃を回想して作っています。森繁おじいちゃんは、クルクル変わる子供の様子を1曲ごとに変化させ、13曲で一つの作品を見事に弾いていました。だい1曲「見知らぬ国から」は遠い昔「青春のかがやき」という映画を見たとき(同年代ならご存知のはず)ヒロインが弾いていた曲です。あれを初めて聴いて何の曲か知らず‥ヒロインのピアノはへたなんです(笑)何度弾いても上手くならない。なのにこの曲がめちゃくちゃ沁みるんです。シューマンの奥さん(作曲時は婚約者)が絶賛したもの。楽譜見ても、聴いてもとても簡単そうなんですが、弾いてビックリですよ!!おじいちゃんよかったなぁ~13番目の終曲を素敵にしめて‥すぐに2曲目ショパンの「タランテラ」。これも弾き終わったと思ったらすぐにショパンの「幻想ポロネーズ」え~~!第1部ノンストップで40分マラソン!早く帰りたいのかしら?終わって立ち上がり納得。通常1曲ごとに舞台袖に下がりますが、確かに杖を持ち、時速1㎞で下がって戻っては‥
第2部ドビュッシー「前奏曲集第1巻」全12曲。知られていないようで、第8曲は「亜麻色の髪の乙女」です。(おっと!島谷ひとみじゃないです~)弾き終わると大拍手~!!目を瞑っていると、まさか87歳のおじいちゃんが弾いているとは考えられない。ものすごく粋がいい魚のよう。そう川を上る鮭!年をとると子供に元気をもらうと言いますが、この日はおじいちゃんから生気をいただきました。死ぬまで現在進行形です。日本なら人間国宝ですよ。この方、イタリア人でしたが、ずっとフランスで活躍され帰化し、今はフランス人。
スローモーションで立ち上がり、丁寧におじぎをしスローモーションで退場。再び時速1㎞で舞台中央まで来ておじぎ。水泳で必死にゴールに手を伸ばす~アレアレ!ピアノの椅子に手を伸ばしてゴール。何回も何回も。涙出ちゃう。「さようなら~」と思っていたら、アンコール!!なんと!これまた映画のように真っ暗の中、おじいちゃんとピアノだけにスポットライトがあたり、スカルラッティ「ソナタ」うっとり~♪そしてお茶目にグーをして最後にもう1曲、グラナドス「スペイン舞曲」。拍手拍手‥めったに見られないスタンディングオーベーションでした。パチパチパチパチ☆☆☆ー 場所: 豊田市コンサートホール