2012.11.18
この人はパウル・パドゥラ=スコダ。フルトベングラーやカラヤンに見つけられたダイヤモンドピアニストです。「ウィーンの3羽烏」の一人。5月にコンサートを聴いたイエルク・デムスおじいちゃんもその一人。この人がどれだけスゴイ人かはwikipediaで。まだ健在ながら既に歴史上の人物です。
舞台に現れたのは、小柄だけどシャキッとして颯爽と歩き、ニコニコとお辞儀をするトッポジージョ。元気な老人、石原さんもビックリ!!トッポジージョは85歳の青年なのだ。
1曲目、モーツァルト「ああ、お母さん聞いて」による12の変奏曲ハ長調。通称「きらきら星変奏曲」ですが、ハ長調のアルペジオをいきなりポロロ~ン♪そして、キラキラひかる~♪オシャンティ!!その後だんだん複雑になっていき‥11変奏では楽譜にないキラキラが増幅して!!キラキラキラキラ‥眩しいばかり~ミッキーならぬトッポジージョのファンタジー☆☆☆☆
2曲目、ベートーヴェン ピアノソナタ「田園」。交響曲の「田園」とは違います。ベートーヴェンが名付けたわけではないけれど、本当に田園が目に浮かぶようなのどかな曲。他の有名なソナタ比べると地味だけど、めちゃくちゃセンスの良い曲です。
3曲目、シューベルト「即興曲Op.90」から3番。小学生の頃から大好きで大好きでたまらなかったシューベルト。生で聴くと必ずウルウルきちゃうんだな~ほんとっいい曲(涙)そして超有名な同じく2番。音楽性は当然ですが、85歳のトッポジージョはめちゃくちゃ指が回るのです~!
休憩の後
4曲目、ハイドン ピアノソナタ46番。2楽章はトッポジージョ本人によるカデンツァが付いてます。(この巨匠はシューベルトなどの未完の曲を完成させたりし、それを世界のピアニストが実際使っていたりしてるんです。)
お辞儀して座るや否や!いきなり凄い勢いで弾き出す~この曲は、チェンバロの後身でピアノの前身のピアノフォルテという楽器のために作られたそうです。奇麗でめちゃくちゃいい曲です。驚くべきテンポでお見事!!ホントに85歳?CDで何度も聴きましたがトッポジージョの生が1番でした。
ラスト、ベートーヴェン 3大ピアノソナタの一つ「熱情」。これもベートーヴェンが名付けたものではないが、まさに「熱情」な曲。ピアノという楽器がますます定着し、さらに広い音域を目指し、この時代一番広い5オクターヴ半をもったピアノで作曲されました。(今のピアノは7オクターヴ強)
85歳の青年は弾く前に、何やら2~3音試し弾き?おまじない?おはらい?とにかく激しい曲で、30ページ以上ある大曲を、時には般若心経でも唱える様にうめき声を上げながら‥最後3楽章は何かに捕りつかれたようになり最終音。正面を向いたときの顔は「ベートーヴェンだ!」
最初の喝采で長いお辞儀をした後、再びニコニコのトッポジージョに戻っていました。何度も舞台に出てはお辞儀。「アリガト、ウレシイ、アイシテマス、マタネ、ゴメンネ‥」みたいなジェスチャーでニコニコしながら去っていきました。アンコールなしのぴったり2時間で幕を閉じました。ベートーヴェンが乗移っちゃう位に燃え尽きたトッポジージョは85歳なのだ。十分すぎるほど十分でした。(豊田市コンサートホール)