2015.07.06
ピティナピアノコンペティションの夏がやってきました。当音楽院からも先々週から予選のエントリーが続いており、現在までの間に5名の生徒達の1回目の予選が終了しました。
トップバッターはC級のSちゃん、昨年のピティナでは本選へ進出することが叶いませんでしたが、その後クラコン、そしてショパンコンクールと頑張り、ショパンコンクールでは全国大会に進出し経験を積みました。
続いてF級のM君、ピティナは今回で7年目のベテランです。
そしてA2級Tちゃん、連弾プレ初級A兄弟、B級Hちゃんの初出場組です。
Sちゃんの本番は大変見事な演奏で、イメージ通りノーミス、演奏後審査終了を待つまでもなく、本選進出を確信させるもので、見事昨年の悔しさを晴らし、余裕での優秀賞獲得、そして本選進出となりました。
逆にM君はイメージ通りの演奏ができず、演奏後がっくりするものの、コツコツ積み上げてきた地力が効いてきたのか、何故か予選第1位という素晴らしい結果となりました。
そして初出場組です。この3組は同じ会場でのチャレンジとなったのですが、どのカテゴリーもその日は出場者のレベルが非常に高く、審査発表まで全く予断を許さない空気が会場を支配していました。
タイムを競うスポーツなどでは、結果は明白ですが、主観に左右されることがやむを得ない所のある芸術一般においては、表現の仕方は違っても、それぞれに上手な参加者がひしめいている状況下では、なかなか確信を持つことが難しいものです。
だからこそ自分を信じ表現し、イメージ通りの演奏ができたならば、あとは静かに結果を受け入れることしかできないのだと私は自分に言い聞かせてはおりますが、やはり伝わって欲しいなあという願いは強くあります。
Tちゃんは、ほぼイメージ通り、A兄弟は少し硬さが見られ若干テンポが走るものの、2組とも点数に余裕を持って初の本選進出を決めることができました。おめでとうございます。一方、Hちゃんは健闘しましたが小さなミスが響きました。ただ今回修正点がはっきりしましたので、決して落ち込みすぎることなく、その改善にこれから取り組み、2回目の予選での本選進出を目指します。
さて今回のテーマは「結果主義者とならない為に」となっておりますが、実は私は望む結果を求めて努力することに対しては、人一倍強いこだわりを持っています。それはどちらでも良いと思っていては、「出来る範囲で」の言葉に表されるように努力に制限をかけてしまうのが普通で、自己限定の殻を破ることができなくなってしまうからです。
厳しいことを承知でわざわざコンペに挑戦する以上、脱皮し新たな自分に生まれ変わるような成長感、喜びをそのプロセスの中で味わって頂きたいと私は願っているのです。それは結果を求め努力していく中で障害、壁などが現れてきた時、どのように考え行動するのかという一点にかかっているのではないかと思うのです。
気をつけなければいけないのは結果を求め過ぎるばかりに、合格さえすれば全て良しと考え有頂天になったり、結局合格しなければ何の意味もないのだと自暴自棄になってしまうような心の態度だろうと思います。
私は、演奏終了直後に嬉しさが込み上げてきたならば、その演奏は評価にかかわらずある意味では成功している思いますし(ただし理想が低い場合は除く)、逆に悔しさが込み上げてきたならば、合格であっても喜びすぎには注意が必要なのではないかと考えています。
結局、結果主義者にならないためには、外からの評価を求めて精一杯努力しながらも、その評価に左右されすぎない自分自身の基準をしっかり持って臨むことが大切だと思いますが、皆さんはどのように思われるでしょうか。
弾き終わった直後の達成感、清々しさをどの位感じることができたか、私は常にここを大切にして生徒達を導いていきたいと考えております。