2013.10.16
少し日数が空いてしまいましたが、先週の日曜日に行われました日本クラシック音楽コンクール本選会の報告をさせていただきたいと思います。
当音楽院からは中学3年生のM君が、予選曲と同じベートーベン作曲、ピアノソナタ「ワルトシュタイン」より第一楽章でチャレンジしました。
演奏前にはいつもの落ち着きのない様子が多少見られはしたものの、まずまずの出来栄えで、優秀賞を受賞、他のコンクールも含めて初の全国大会出場を決めることができました。おめでとうございます。
思えばM君が私の生徒になったのは、引越してこられた6年半前の小学校3年生の時でした。その当時の印象といえば、「落ち着きのない男の子だなあ、でも素直でいい子だな。」というもので、能力的にも特別目立ったものは無かったように思います。
その年からコンクールを毎年受けるようになり、小学3年生では町の小さなコンクールの予選になんとか合格し、小学4年生から中学2年生までは、ピティナピアノコンペティションにチャレンジしました。
小学4年生・5年生はなんとか本選には進出するものの、2つの予選のうち1つは必ず取りこぼしておりましたし、小学6年生では2つとも不覚を取り、初めて本選進出を逃してしまいました。
小学生時代はこんな感じで、本選での活躍は望むべくもなく、滑り込むのがやっとで、なかなか芽の出ない日々を過ごしておりました。
普通はこのまま中学生になれば、部活動や勉強などに時間を多く取られ、ピアノは続けられたとしてもコンクール等への挑戦は見送るケースが多くなると思うのですが、彼はむしろこの頃から全国大会へいつかは行きたいとよく口にするようになり、指導者の私を悩ませておりました。
中学1年生のD級にもなると、課題も難しく、先ほど述べましたように練習時間の確保も小学生の頃に比べて難しくなっておりますので、本人の意志の力が非常に大切で必要になってきます。その結果は苦戦はしたものの、2回の予選の内、なんとか1つに合格し、本選へ返り咲くことができました。ただ全国大会は依然雲の上の世界で、まずは本選でなんでもいいから1枚賞状を頂きたいなあと思うのが現実のところでした。
私は中学生の時が努力すれば一番伸びる時期だと思っているので、その事を本人にもご両親にも常々お話し、夢を持って機嫌よく頑張りましょうと言っていたのですが、その芽がやっと出始めたのが中学2年生の時です。
今年こそは絶対に全国大会に行きたいと公言しスタートさせたコンペだったのですが、いきなり1回目の予選を第2位で合格し、2回目の予選は第1位で合格したのです。2つとも予選に合格したこと自体が初めてであっただけではなく、それなりの評価も頂く事ができ、一気にボルテージも上昇し、本選に突入しました。
そして本選では悲願であった表彰を受け、本選優秀賞、そして特別賞等も授与されたのですが、目標の全国大会進出はほんの僅差で及ばず涙を飲みました。しかし場所は変わりましたが、そこから1年の月日を経て、今回の全国大会初進出に至ったのです。
前々回のトピックスで、「理想(夢)と単なる妄想は、時間の流れの中で峻別されていく。10年の歳月経ても尚、色褪せず願い続け、努力し続けることのできる理想(夢)は、実現する可能性が高く、決して諦めてはならない。」と述べさせていただきました。今回のケースは6年半ですが、その事を証明してくれたように思います。
さあステージが変わりました。自己限定することなく、改めてもう一度夢を描いてみてください。現実の努力を怠らず、その方向性が間違ったものでなければ、まだまだ伸びしろはあります。これからも益々成長することの喜びを、共に味わい楽しんでいければと思います。どうぞよろしくお願い致します。