2016.03.21
フランス絵画「印象派」の語源となったモネの代表作、「印象 日の出」
見て来ました。
風が吹き、波がたち、光が反射する・・
動く対象を瞬間的に絵に閉じ込めようとしたモネ。
どれほど短い時間で描いたのでしょうか。
この絵は下書きされた跡がないそうです。
今回、この展覧会で強く印象に」に残ったのは、晩年の作品。
彼が自宅の庭に作った、睡蓮の浮かぶ池を繰り返し描いた事はは有名ですが、
晩年に差し掛かるにつれ、筆のタッチはより即興的に、対象は抽象的に、
そして何よりも、力強くなっていることに驚きました。
絵を描く事への、また命への執念とでも言うのでしょうか。
大きなキャンバスに、ありったけの力を振り絞ったような作品は圧巻で、
最晩年の睡蓮に至っては、静かなはずの池の水が、川のように波打っていました。
晩年、妻や息子を亡くし、庭の柳の木をずっと眺めていたというモネ。
そのどうしようもなく寂しげな柳の絵は、モネ自身の様に見えました。
印象派の絵画は、ドビュッシーをはじめとする印象派の音楽とも深く関わっています。
光・空気・水・・そういった物体としてつかみにくい自然を絵画にしたり、音楽にしたり、それが印象派の特徴なのですが、
音は生まれて消えるもの、だからある意味、光や空気と共通点が多いかも知れません。
けれど絵画はモノとして残るものですから、モネがやろうとしていたことは、
とてつもない事だったのかも知れません。
絵の前に立っていると、そこから風が吹き、木々の葉っぱがざわめき、水が動き、光がチラチラするのを感じます。
それが天才の成せる業なのでしょう。
勉強になる展覧会でした。