2017.07.22
20日のトピックスで、日野原先生のことを書かせていただきましたが、
日野原先生は 音楽療法にも
ご尽力され熱心に取り組まれました。
末期の患者さんの緩和ケアにも御尽力された先生は、そこでも音楽の力を語られ、
また、発達障害と音楽についても
お話など されていました。
今日は、私の持っていた資料の中から
日野原先生のお話を
ご紹介させていただきます。
(文章途中で❶❷❸と出てくるのは、文章後半で 私の体験と合わせたことを書くためです)
【私は日本音楽療法学会の理事長をしています。音楽大学の学長でもない医者の私が
この職にあるのを不思議に思われるかも知れませんが、音楽は重要な癒しの手立てです。
昔、カナダの大学病院を訪問したとき、音楽療法士さんにお会いし、実際の現場を見せてもらいました。
その音楽療法士さんは、ギターを持って末期ガンの老人の病室に向かいました。老人が
「私はまもなく死ぬ。夏の終わりに咲くバラの花、と言って私は消えていく」と 口にしました。
すると、その音楽療法士は、即座にその詩に曲をつけてギターを弾きながら歌ったのです。(❶)
私は、彼女の歌を聴いて涙が出たのですが、同時に、老人の穏やかで満ち足りた表情を見て、音楽のもつ素晴らしい力に心を打たれました。
音楽には、まもなく人生を終えようとする人でさえ感激させ,癒す力があるのを実感しました。(❷)
日本へ帰った私は、ホスピスや緩和ケア病棟に音楽療法を導入し、音楽療法が有効であることを示したいと研究を始め
ました。
そして、当時、聖路加国際病院の心療内科で働いていた医師と一緒に、研究会をつくります。
この会は、どのような音楽が患者の心や身体に影響を与えるかを科学的に研究するもので、後に他の学会と合併して日本音楽療法学会になりました。
最近は、音楽を聴く前と聴いた後とで、唾液や血液中のホルモンや免疫力が変化する事が実証されつつあります。
私はいろいろな患者さんに音楽療法を試みていますが、多くの患者さんは心を打たれ、和み、睡眠も楽にとれるようになります。
薬ではできないことが、音楽にはできるのです。
人と人が ふれあうことによって、音楽は癒しの力をより発揮します。(❸)
私は、音楽療法は緩和ケアだけでなく、自閉症
コミュニケーションが難しい方などにも有効なのではないかと考え、
言葉が出なかった方に試みてみました。
担当医は「数年間も言葉がでないんですよ。今さら音楽療法をしても。。。」と言いました。
しかし、この方の好きな曲を
かけると「あー」という声が出てきました。
さらに音楽を続けると、言葉がその声にのってきたので、私はびっくりしました。(❹)
その後、この方が 看護師に「ありがとう」「おはよう」という言葉をかけたと知り、
私は奇跡が起きたと思いました。
(❺)
脳には海馬という
言葉の記憶の中枢がありますが、私は、音楽が海馬に何らかの影響を与えたのではないかと考えています。
音楽は、こんなにも楽々と、人の心がコミュニケートする(通い合う)ことを可能にする。それがもし言葉だけで可能だったなら、人間の歴史で音楽が生まれるニーズもなかっただろう。
まさに音楽は、人間の日々の営みから生まれた、心を癒やす技術です。音楽の癒やしの力を信じる人の輪が、今後も更に広がることを願っています】
この文章は、ごくごく一部ですが、
音楽療法に対しての効果
必要性、医療との優遇など
日野原先生がお話されていた内容を
書かせていただきました。
続く