2023.10.11
あるレッスンのひととき。
私がふと呟いた一言に対して、思った以上の考察と反応を示してくれた生徒さんがいました。
過剰なまでの個人主義に陥っている今時、他人の言葉に鋭く反応し、理解してくれるその感受性とコミュ力に新鮮な驚きを感じました。
非認知能力という言葉は昨今、ピアノレッスンを勧める楽器店のセールス文句になっています。
テストの点数や偏差値など「数値」で表すことができるものは「認知能力」。
これに対して、数値で測ることのできない人間的な力が「非認知能力」らしい…。
具体的には好奇心やがんばる力、コミュニケーション能力、誠実さ、忍耐力などを指すとか。
前述の生徒さんの素晴らしいコミュ力、いわば非認知能力をみて思わず他の生徒さん方はどうなってる?と全体を振り返ってしまいました。
なるほど、みなさん確かにいいレッスンをさせてくださるいい生徒さんばかり〜笑
レッスンでの反応は良くも悪くも豊かですし。
レッスン入門→円滑なコミュニケーションが取れるようになるまで、個人差はありますが特に近年は半年〜長い場合は数年。
同時に培ってきた音楽の基礎力を併用し、
「ピアノ楽しい」と実感するには最低でも5.6年はかかるでしょうか。
その後、芸術の世界に本格的に足を踏み入れることができるわけなのかもしれませんが…。
うーん、ながーいですね〜…笑
非認知能力って、ざっくりいえば
「人として美しく生きるために、自分の感情をコントロールする力」
なのかなと思います。
子供の頃、作曲家シューマンの嫁さんでピアニストのクララの伝記を読んだ時に、
「立派な芸術家になるためにはどうしたらいいか」
という彼女の問いに牧師さんだかが
「立派な人間になりなさい」
と答えるシーンがあったのを思い出したのですが、同じことなのだろうなと。
面倒だ、辛いから、理解できないからやりたくない。
時間がないから適当にやっておけばいいや。
それらは人間なら必ずもつ感情ですし、その感情を理由に物事に対する努力を放棄することがあるのも何ら不思議ではありません。
でも中にはそういったマイナスの感情をコントロールしつつ、無理のない範囲でできるだけの努力ができる人がいることについて考えを及ばせる時間も必要なのかもしれません。
10月になりブラインド越しに差し込む日光も柔らかくなってきました。
今年は発表会のない秋です。
私にとって、毎年秋以降は時間が放たれた矢の如く過ぎ去ってしまいますが、自分自身の勉強に対する姿勢を再考する時期にしたいな〜と思います。
みなさんも是非豊かな時間を過ごす秋になりますように。