2013.02.16
先月、前橋市民文化会館大ホールで、日本ピアノ研究会主催コンクール入賞披露演奏会が開催されました。そのコンサートの招待を受け、ゲスト演奏として出演させて頂きました。1000人程の客席数のある大ホールは広く、独特の空気と匂いに包まれていました。練習はいくらしても心配は絶えませんが、やはり広々とした会場での演奏は気持ちいいものです。
出演者は60名程で、子供から大人まで予選本選を勝ち抜いて入賞した人達です。
私のゲスト演奏は最後でしたので早くから客席に座り、皆さんの演奏を聴かせて頂きました。中でも、子供さん達の演奏には感心させられました。
ゆっくりとステージに登場し、どことなく不安な表情で丁寧にお辞儀をし椅子に腰かけ・・・そんな様子を見ていると、大丈夫かなと気がかりですが、鍵盤に手を置き弾き出すと、人が変わったかのような表情と集中力でピアノと向き合い、私自身が自然とその子の世界に引き込まれていきました。音楽の表現力や技術力はもとより、その曲の時代背景までもが見える演奏もありました。
又、ピアノはホールによってマチマチです。よく響く会場、響かない会場、音が散ってしまう会場、又ピアノもタッチがクリアな会場、重い鍵盤でも深みのある音のピアノ、そしてペダルの感触も様々です。状況によって、弾きながらそのホールに合う音色を作らなくてはいけません。
準備されたピアノを皆が平等に弾くわけですが、不思議なもので一人として同じ音を出す演奏者はいませんでした。ピアノは、弾いているうちにその人の音になってしまうのです。それはやはり、弾き手がピアノ全体を上手く鳴らしていることに他ならないのでしょう。
皆さんが弾き込んで下さった柔軟な音色が作られたピアノで、最後に演奏させて頂くことを大変光栄に思いました。
この日のために、一日何時間もの練習を積み重ねてこられただろう姿を拝見させて頂きながら、自分の子供の頃を重ね合わせたり、努力し続ける事の大切さを痛感する感慨深い一日となりました♪