2011.08.10
私がピアノを初めて買ってもらったのは、7歳の時でした。
それまでは、音楽教室のグループレッスンで、オルガンを弾いていましたので、ピアノのタッチに慣れるのは、とても大変でした。
個人レッスンでピアノを教えてくださった I 先生は、優しく、時には厳しく、そしていつも根気強く指導して下さいました。
ピアノを買ってもらう前に、母から
「絶対にやめないのなら、ピアノを買ってあげるね」
と言われたのを、私は今でも鮮明に覚えています。
ピアノの音色は、とてもきれいで毎日弾くのが楽しみでした。
ですが、幼いころからピアノに慣れ親しんでいる、同年代の子に比べて、上手ではなかった私が「いい音」を出せるようになるまで、何年もかかりました。
無我夢中で練習するうちに、少しずつ上達し、小学校高学年になったころ、忘れられない出来事が起こりました。
その日、ブルグミュラーの最後の方の曲がしあげになっていたので、私は先生の前で、意気揚々と自信を持って弾きました。
先生は、
「・・・安子ちゃん、とてもよくなったけど、まだマルはあげられないな。もう一息、頑張ってきてね」
と残念そうにおっしゃいました。
私は、「絶対マルをもらえる!」と思い込んでいたので、愕然とし、ショックで泣いてしまいました。・・・次のレッスンの子も横で聴いていたのに。とても悲しく、悔しく、恥ずかしい気持ちでいっぱいでした。
それから一週間、一から勉強しなおしました。
一音一音ていねいに、頑張って練習しました。
そうして迎えた次のレッスン、私は静かな心で弾くことができ、マルをもらえました。先生の晴れやかな笑顔とともに・・・。
本当に、今でも忘れることができないエピソードです。
後に、私が音楽講師になってから、あの時先生がおっしゃった「もう一息」の意味が、わかったような気がします。
きっと、飾る心ではなく、素直な心で弾くことの大切さを、先生は私に学んで欲しかったのだと思います。