2026.05.16
夏を思わせる唱歌。
読売新聞文化部
「唱歌・童謡ものがたり」より
『月の沙漠に』
作詞 加藤まさを
作曲 佐々木すぐる
一、 月の沙漠を はるばると
旅のらくだが ゆきました
金と銀との くら置いて
二つならんで ゆきました
二、 金のくらには 銀のかめ
銀のくらには 金のかめ
二つのかめは それぞれに
ひもで結んで ありました
加藤まさをと御宿のかかわりは
大正末期にさかのぼる。
当時、立教大に籍を置きながら
創作活動を開始した加藤は、
すでに竹久夢二らと並ぶ売れっ子の
叙情画家・詩人だった。
そのころ肺病の療養のためにたびたび
訪れていたのが御宿。
『月の沙漠』の着想は、
幾つもの砂山が連なる浜辺を眺めているうちに
生まれたのだといわれている。
「あれは御宿の砂浜を見ていたときの幻想が基になったんだよ」。
事実、長田暁二(童謡の歴史に詳しい音楽文化研究家)は、
生前の本人からそう聞いたことがあるという。
加藤まさをの長男、嶺夫は言う。
「生まれた故郷は静岡県の藤枝市。海にも近く、
よく浜辺に行って泳いだそうです。その記憶が
ヒントになった、と親類に話しており、私もそう信じているんです」…