2016.07.27
あと二日で発表会です。
発表会まで日にちが空いてしまう曜日にレッスンに来た生徒さんに集まってもらって、演奏の最終チェックとリハーサルをしました。
まず発表会のオープニングに歌う「大きな歌」を全員で歌いしました。
途中歌詞が怪しくなっていましたが、口パクでもなんでもとにかく歌い続ける「技」も身に付き(!?)、私も一安心…。(-"-)
ピアノの演奏は皆さん少々緊張気味でしたが、最後まで滞りなく演奏できました。
椅子の高さや、位置を確認して、二回ほど練習して解散となりました。
今日皆さんに注意したのは、間違えても暗譜が飛んでも、とにかく止まらないで最後まで弾き続けることでした。
少し前にテレビで、有名なピアニストが出演するバラエティー番組を見ました。
一日の練習量とか、コンサートでもらえる収入等、知りたくてもなかなか質問できないようなことを、ピアニストたちに聞いてしまうような番組でした。
その中でピアニストたちが、コンサートで間違えないで弾けたことはあまりない…と言ってたのが印象的でした。
そして間違えた時のリカバリーの技まで披露していました。
気難しそうな芸術家を身近に感じてもらおう、という企画だったのかもしれませんね。
間違えても動揺しないで、最後まで弾くのも大切だと思います。
そしてそれは沢山練習したからできる技だとも思います。
以前、オーストリアのウィーンを旅行した時に、町の情報誌のようなもので、オーストリアを代表する世界的なピアニストが、息子さんとジョイントコンサートを開くことを知りました。
そのピアニストは日本に何回も来ていて、私はコンサートにも行ったことがあるし、公開レッスンを聴講したこともありました。
早速チケットを購入して、会場の小さな教会に行きました。
お父さんの演奏はもちろん素晴らしく、穏やかな人柄が表れるような演奏でした。
そして息子さんの演奏…シューベルトの即興曲がはじまりました。
ウィーンでシューベルトの演奏を聴くなんて、しかもあのピアニストの御曹司の…この上もない幸せな時間が過ぎる、と思った瞬間、突然彼の演奏が止まりました。
暗譜が飛んでしまって、頭が真っ白になってしまったのでしょう。
ほんの一瞬が長く感じる時間が過ぎて、彼はなんとか音を見つけて、演奏を終えました。
プロのコンサートでこんな経験をしたのは初めてでした。
私は、生徒さんの発表会の演奏を聞いている時のように、最後まで無事に弾けるように祈るような気持で聞いていたよう記憶があります。
息子さんは演奏が終わり、憔悴した様子でピアノの前に立っていました。
すると暖かい拍手が教会を包みました。
それは若手の音楽家の成長を見守る、激励の拍手のようでした。
どんなに練習しても、才能があても人前で演奏すれば緊張します。
たくさん練習して自信がついたら、本番では「いつも通り弾く」ことを忘れないで練習の成果を発揮できれば、と思います。
そしてご父兄の皆さんは、一生懸命練習した生徒さんたちに暖かい拍手をお願いいたします。