2015.06.04
今年も半年が経ってしまいました。
そしてもうすぐ東京も梅雨入り…。湿気を含んだ空気は何だか重くてうんざりしてきます。
今日は今年から高校1年生になったHちゃんのレッスンがありました。
中学ではテニス部に入っていた彼女ですが、高校ではオーケストラの一員となってヴァイオリンを担当することになりました。
今日も学校から借りたヴァイオリンを肩から下げて教室にやってきました。
…それだけでなく他にも荷物があって、計6個の荷物を両肩に下げていました。これって相当重いのではないでしょうか…。
Hちゃんは、先週中間テストが終わったばかりで、あまり練習が出来ない様子でした。
というわけで、レッスンというより練習のような内容になりました。
中学生になってからピアノを始めたHちゃんが、今弾いているのはチャイコフスキーの「子供のためのアルバム」に入っている「甘い夢」というロマンチックな表題を持つ小品です。
甘く、切なく、そしてささやかな幸福感に満ちたメロディーは、とてもきれいで発表会等で耳にすることも多い曲です。
まず間違えないで弾けるようにしよう…ということで少しずつ区切って練習を進めていきました。
段々曲に慣れてきたので、強弱を付けて弾いてもらう事にしました。
楽譜には強弱記号が沢山書かれていて、その通り弾けばいいといえばいいのですが、Hちゃんはそれぞれの記号の音量やバランスがつかめないらしく、なんだか不自然、物足りないのでした。
まだ譜読みが終わった時点では、メロディーの抑揚や感情を表現するのは難しく、曲の解釈どころではないのでしょう。
でも、弾くことは無理でも、この曲でチャイコフスキーが何を表現したいかは、容易にわかります。
曲に題名が付いているからです。
Hちゃんが持っている楽譜には邦題で「甘い夢」英語で「Sweet Reverie」と書かれています。
Dreamは寝っている時の夢で、Reverieは夢想、空想なので、憧れや切なさ…様々な感情を想像しながら演奏しなければ生き生きとした演奏にはなりません。しかもSweetな空想だから…。
お年頃のHちゃんには、恋するようなそんな甘く切ない感情…かなあ。と、言ってしまいましたが、実はこの曲はチャイコフスキーがかわいがっていた甥のウラディーミルに献呈した曲だそうです。
だとすると、「恋」とは関係なさそうですが、あとで調べてみたら子供の頃のチャイコフスキーはじつに早熟で、母親ほどの年の家庭教師の先生に恋心を抱き、この先生が辞職した8才の頃に熱烈なラブレターを書いたらしいです。
だからこの「甘い夢」は、ひょっとしたらチャイコフスキーが、子供の頃の甘い思い出を綴って書いた曲なのかもしれませんね。
Hちゃん、来週は練習してくるかな…。勉強と部活で忙しいでしょうが、「甘い夢」の出来上がりを楽しみにしているので、時間を見つけて練習してね!