2018.05.20
今日は今月からピアノを始めたYちゃんからレッスンが始まりました。
長女のYちゃんは、妹やまだ赤ちゃんの弟と一緒に教室に来ています。
幼稚園生の妹さんは、お姉さんのレッスンを待つ間、静かに絵を描いて待っててくれました。
Yちゃんは2年前からピアノが習いたくて仕方がなかったそうです。
妹や弟が少し大きくなって、今年やっと教室に通えるようになったそうです。
2年ぶんの思いを込めて、一生懸命ピアノを練習しています。
そして、他の生徒さんも発表会に向けて頑張って練習をしています。
今年初めて発表会に出るHちゃん。
小学校2年生の女の子です。
ピアノを始めたのは、幼稚園の年中組のとき。
発表会は恥ずかしいから出ない…の一点張りでした。
そしてお母さんは、仕事の都合がつかないので、発表会は欠席します、と仰っていました。
そんなYちゃんが発表会に出るきっかけになったのは1枚の写真です。
教室の出窓に、昨年のクリスマス会の時の集合写真が飾ってあります。
Hちゃんは、その写真を熱心に眺めていました。
同級生や、同じ学校の上級生を見つけて「あっ○○ちゃんだ!」と呟いていました。
Yちゃんは積極的にピアノが習いたいというタイプではなく、むしろご両親のピアノが弾けるようになって欲しいというご希望から、ピアノを習っているようでした。
というわけで、練習もやったり、やらなかったり…かなりムラがありました。
そんなYちゃんが発表会に出たい…と、言い出しました。
沢山練習しないと、発表会に出られないよ、と、私が言うと「練習するよ」と言いました。
練習する…と言っても、初めはかなりのスローペースでした。
でも弾けるようになってくると面白くなったのか、練習量も増えて、最後まで自信をもって弾けるようになりました。
4月末までに発表会の申し込み書を提出することになっていましたが、Yちゃんがいつまでたっても申込書をもってきません。
お母さんに連絡すると「仕事の予定が立たないので、今年も不参加で…」とのお返事でした。
残念だな…そう思いながら、Hちゃんのレッスンをしていました。
すると、Hちゃんがピアノを弾く手を止めて「これぐらい弾ければ発表会に出られる?」と私の表情を窺うように言いました。
私は一瞬言葉に詰まりましたが、「お母さんが、発表会は出ないって言ってたよ」と言いました。
Hちゃんは言葉を失いました。
驚き、喪失感、落胆…そんな表情でした。
「お母さん、お仕事が忙しいんだって」
「そうなんだ…じゃあ、発表会に出なくてもいいや…」
その後、茫然としたまま教室をあとにしたHちゃん。
Hちゃんの表情が忘れられなくて、レッスンとレッスンの合間に、お母さんに電話をしました。
ご自宅で、一人で沢山練習していることは、お母さんもご存じでした。
教室でのHちゃんの落胆ぶりをお話すると「わかりました。本人と相談します。そして発表会に出られるようにします。」と仰いました。
今日もHちゃんは、発表会で弾く曲を楽しそうに弾いてました。
そして私が「同級生のYちゃんやNちゃんも、発表会の曲を頑張って練習している」と言うと、Hちゃんは笑顔になりました。
1枚の写真が、そしてお友達が、Hちゃんのヤル気スイッチを押してくれたようです。
ご父兄のご協力にも感謝したいです。
レッスンが終わり、玄関までHちゃんを送り出しに行きました。
「私、高校生くらいまでピアノを続ける…」
Hちゃんは少し恥ずかしそうに言って、ドアから手を放しました。