2017.10.11
今日はちょっとした出来事がありました。
レッスンが終わったのは9時半ごろでした。
帰り際に郵便ポストを覗くと、数枚のチラシと一緒に、一通の手紙が入っていました。
水色の封筒に、丸みがかった文字。
裏面を見ると男性の名前が…。
それは、前に教室でピアノを習っていたSさんのご主人からの手紙でした。
一週間ほど前に、Iさんと一緒に一通の手紙と、写真をSさんのお宅に送りました。
Iさんも以前ピアノを習っていて、今はお嬢さんのAちやんが教室に通っています。
Sさんは甲州街道沿いにあった旧教室の頃からの生徒さんでした。
当時、SさんとIさんはレッスン時間が前後していて、親しくお話されるようになりました。
妊娠していて、初めての出産で不安そうにしているIさんに、Sさんはお姉さん、時にはお母さんのように色々お話されていました。
ある日のレッスンで、出産を間近に控えたIさんが、子供が生まれたらピアノのレッスンに来れなくなる…と、言いました。
するとSさんが「私が赤ちゃんをみていてあげる。泣きだしたら外に行って、お散歩してもいいし。」と言いました。
無事に出産したIさんは、教室に復帰しました。
そしてSさんは約束通り、レッスン中の赤ちゃんのお世話をしてくださいました。
晴れの日は、抱っこ紐の付け方をIさんに習って、近所のスーパーや公園に散歩に行ったり、雨の日は教室でお人形遊びをしたり…。
それはIさんが産休を終えて、職場復帰されて教室を辞めるまで続きました。
新しい教室に移転してからもSさんはレッスンを続けました。
Sさんのあとにレッスンを受ける中学生のNちゃんは受験を控えていました。
Sさんは、そんなNちゃんの事を、褒めて、激励して優しい言葉をかけていました。
そして受験が終わったらみんなでお祝いをしよう…そう約束をしました。
一昨年の3月…まだNちゃんの合格発表の前のことでした。
体調不良で、Sさんが突然教室を退会しました。
息切れが酷くて病院に行ったら悪い病気が見つかって…。
また元気になったら連絡します。
短いメールに切迫したものを感じました。
そして昨年、Iさんから、Sさんが亡くなった、という連絡を突然頂きました。
今年の春からIさんのお嬢さんがピアノのレッスンを始めて、IさんんとSさんの思い出話をすることが多くなりました。
Sさんにお散歩に連れて行ってもらっていたAちゃんは、もう小学校1年生。
私は、Aちゃんを見るたびに、Sさんが思い出されます。
Iさんと相談してSさんのご主人にお手紙をだすことにしました。
Sさんに伝えたかったこと、様々な思いを込めて…。
Iさんは、Aちゃんの小学校入学の写真と、Aちゃんが赤ちゃんの頃にSさんと写した写真を、私はお食事会で写した写真と、少しおどけてピアノの椅子に座るSさんの写真を手紙に入れました。
ポストに入っていたSさんのご主人からの手紙を開けてみました。
便箋2枚に、ぎっしり書かれた手紙…。
私達が送った手紙や写真へのお礼と、近況などが、書かれていました。
そこにはSさんを亡くした悲しみ、寂しさが溢れていました。
最後に「お二人の記憶にあるSが、彼女が生きた証です。大切にしてやっていただければと思います。手紙の事、一緒に過ごして頂いたひととき、本当にありがとうございました。」と書かれていました。
Iさんも、私も、Sさんのことをいつまでも忘れません。
Sさんの明るさや、優しさが大好きでした…!
★日記は10月10日ぶんです。