2016.09.06
教室の玄関で元気なく靴を脱いでいるG君。
いつものやんちゃ振りは鳴りを潜めています。
立ち上がると、右手はアームスリングで首から吊るされていました。
先週の水曜日にお母さんから、G君が学校で転倒して、右腕を脱臼した上に肘を骨折して手術をしたというメールをもらいました。
転倒してそんな酷い怪我をするなんて…。しかも運動神経抜群のG君が。
その後G君の同級生や、お兄ちゃんのレッスンがあったので、どうしてそん事になったのか聞いてみましたが、それぞれが別々なことを言うので、状況がわかりませんでした。
そして今日G君に何が起きたのか聞いてみましたが、本人もなぜ骨折したのか覚えてないのです。
気が付いたら床に転んでいたそうで、何かに躓いて転んだのか、誰かにぶつかったのか分からないと意気消沈とした表情で言っていました。
利き腕の右手が使えないと、レッスンはかなり限定された事しかできなくなります。
左手でゆっくり楽典の練習問題を解いているG君は、元気が無くしょんぼりしていました。
一番つらいのは半年もサッカーができないことのようです。
これから抜歯してボルトを取って…と説明するG君。とても悲しそうです。
レッスンの時にG君は学校やサッカーの話をよくしてくれます。
その話をきいたり、ピアノのレッスンをしていて、私は時々心配になることがありました。
サッカーが得意で、足も人一倍速く、勉強もできるG君は自信に満ちていて、そこから生まれる自由闊達さは、幼さゆえに時には他の人を傷つけてしまうような言動にゆきすぎてしまうこともあるようでした。
今日は言葉数が少ないG君が音符を書きながら、服を着たり脱いだりも大変だし、レッスンバックに使っているリュックも背負い難いと言いました。
リュックサックを見ると、かなり肩ひもが伸びていました。
これでは肩から下がってしまい、キブスで固定された腕では背負いにくいそうです。
長さを調整しながらG君に話ました。
怪我をしたことは本当に酷い経験で気の毒だけれど、怪我をしてみてわかったことも沢山あるんじゃない?
怪我をして辛い人、病気で苦しんでいる人、その他色んな理由で辛い思いをしている人がいることわかったよね…。
他の人にも優しくしないとね。
G君は小さく頷いていました。
怪我が治ればまたいつものG君に戻るのかもしれませんが、なにか心の中で成長があればいいな、と思いました。
G君が突然「昨日野川の川べりを、お父さんとニ子玉(二子玉川)まで歩いたよ。10キロ。サッカーができなくて足がなまるから、とお父さんが言って」と言いました。
足がなまるだけでなく、お父さんもG君の落ち込みようが見ていられなかったのでしょうね。
お父さんとの10キロの散歩には色々な意味があったのかもしれません。
G君の腕が早く完治しますよう、お祈りしています。