2017.06.25
最近は子供の成長もはやく、思春期に入る年齢が
どんどん低年齢化してきてるような気がします。
逆に言えば子供がどんどん大人びてきているという事でしょうか。
そんな中、子供達の成長を通して残念に感じている事があります。
最近の子供は全力を出さない、と感じるのです。
みんな器用で、全力を出さずにサラッと
やってのける気がするのです。
でも、見ていてつまらないんです。
みんな同じ。
抑揚がない。内面から湧き上がる熱い情熱がない。
だから、伝わってこない。
能面のような表面だけの演奏はつまらない。
今の子は、金子みすゞさんの有名な詩も教科書に載っていて
《みんな ちがって みんな いい》
「一人ひとりが違っていい」と習い育っている世代のはずですが
だとすれば、個々が感じる感情はそれぞれ違うはずです。
なのに感情を前に出し、爆発させる子が少ない。
(特に音楽において、の話です)
楽譜通りに書いてある事を演奏するだけなら誰でも出来ます。
もちろんノーミス、パーフェクトな演奏は
誰でも出来るわけではありません。
でも素晴らしい演奏って、それだけじゃないと思うのです。
感動する演奏は、内面から湧き上がる熱い情熱、感情が
聴く人に伝わった時「感動」が起こると思うのです。
土台を築くために、勿論基礎の力が重要です。
正確な譜読み、タッチや指の力、音の粒を揃える
左右の音色やタイミング等自分の音を聴く力など。
ですから練習はもちろんの事です。
およその音楽が見えてくれば、まず骨組を作り
次に肉付けの段階で楽譜の内面を読み取る。
(相互の掛け合い等、楽譜の細部を把握し、間違ったデュナーミクや
間違った解釈をできるだけ避けるため)
それからプラスαとして、ここでようやく個々の感性や情熱、
音の色彩や温度、スピード感等、自分なりに感じるものを
表現してほしいと思うのです。
上記はあくまでも私の一つの意見としての考え方ですが
私の生徒さんには、ただただ感情に任せて音の表面を撫でるのではなく
土台作りをきちんとした上で感情の温度、色彩を豊かに感じ
表現出来る心を持てるようになって欲しいと思っています。
平面的な音楽ではなく、立体的に。
広がったり縮んだり、波のように近付いたり離れたり。
そうして、聴く人の耳に、胸に響き、伝わる演奏を
工夫してほしいと思います。
そのような演奏がきっと「感動」につながるのだと思います。