2016.08.04
中村紘子先生の訃報は衝撃でした。
ご病気は存じ上げていましたが、
こんなに早く、
急に亡くなられるとは夢にも思わず・・・
つい先ごろ、テレビでお元気そうなお姿を拝見していましたし、
本当に想像以上に衝撃でした。
日本でピアニストといえばまず『中村紘子』が挙げられるでしょう。
私が子どもの頃、優秀で有名な指導者はたくさんいらっしゃいましたが、
周知されたピアニストは、この方くらいでした。
にこやかで、ドレスがとてもお似合いの美しい憧れの存在。
ピアニストという存在を広めたと言っても過言ではないでしょう。
私は、ショパンのピアノコンチェルト第1番が大好きですが、
それを何度も聴いたのは、中村紘子演奏によるレコード。
レコードジャケットも華やかできれいで、
レコードを聴かなくなった今でも、レッスン室の片すみに飾ってあります。
なんとなく、このジャケットや収録写真が好きだったんですよね。
私自身、様々な勉強や経験をしていく中で、
演奏に対する考えや感覚ができていきました。
尊敬は大きいけれど、自分とは感覚が少しちがうかもと思うようになり、
でも、
“中村紘子”という存在は、日本のピアノ界にとってそれは大きなものでした。
彼女なくして、今のピアノ界はなかったと言ってもいいかもしれない。
それくらい、ピアニストとしての存在は誰よりも大きい影響力がありました。
大きな憧れのピアニストを、こんなに早く失ってしまうとは・・・
私が師事した先生が、昔おっしゃっていました。
「私が大学1年の時に、彼女が付属高校1年に入ってきたのよ。
そのときはもう、毎日コンクールで優勝したあとだったわね」
私の先生は、宮沢明子先生と同級生。ほかにも有名人がたくさんで、
ぜんぶ“ちゃんづけ”でお呼びになっていました。
華やかな時代だったのですね。
今回の訃報は、中村紘子という存在の大きさを改めて感じさせます。
ピアニスト中村紘子氏に、心から感謝と敬意を捧げたいと思います。