2015.10.17
演奏は、
受け取る側の感性によって、
その評価は変わります。
ピアノの経験がある人とない人では、
その耳が違いますね。
そして、
聴くツボみたいなのも違ってきます。
経験のある人、知っている人は、
「この曲はここがむずかしいのよね」
「ここで音色が変わって、表情があるなぁ」など中身を吟味します。
じゃあ、経験のない人は?と思うでしょうが、これがまたなかなかのもの。
弾けなくても聴く機会を重ねていると、その演奏の価値がわかってくるのです。
「よくわからないけど、この演奏はすごくいい!」
「よくわからないけど、鳥肌が立つ!」
「よくわからないけど、うちの子にもこれを弾いてほしい!」
たぶんこれ、純粋に聴いているんですよね。
むずかしいかそうでないかとか、そういうことじゃない。
純粋にピアノを聴いて感じているんですよね。
ピアノはテクニックも表現も音色も全部大事だけど、
その奥に、
奏者のきれいな気持ち、真摯に奏でる姿勢がなければ感動しないのです。
それを感じるのは、ピアノの経験があるかどうかは関係ない。
心を静めて受け取れるかどうか、それだけ。
うちの教室の親御さんたちはなんというか人間ができている方が多く、
ほかの生徒さんたちをちゃんと褒めたり評価したりしてくださいますね。
時にはコンクール会場でライバルになることもあるというのに、
その演奏をよく聞いて純粋に褒めてくださる。
生徒同士もそんな感じで、
「去年よりずいぶん上手になったねぇ!」
「私もこれを弾けるようになりたい!がんばります!」
「来年は何を弾くんですか?先輩に憧れているんです!」
かわいいですよねぇ。。。
さてさて、先生もみんなからインスパイアされてやる気が出てきましたよ♬
もう何十年も前、大学でのレッスンの一コマ。
「なんで弾けないのよ。この指が悪い!骨が悪い!」
その日の師匠はそれはもうお怒りモード。
骨って言われてもそれはどうしようもないじゃないの・・・
そこへ母から電話。
今日レッスンで骨が悪いって叱られちゃったよ・・・やんなっちゃう(ため息)
「あぁそう・・・小さい時から牛乳いっぱい飲ませてたんだけどねぇ・・・」
はい?牛乳?なにこの大真面目な答え。一気に脱力しましたね。
でも、最近つくづく思います。
私も生徒さんたちのような骨がほしいなぁって。
手指の条件のいい生徒って、結構いるんですよね。
音色は指の角度や脱力、腕の状態などで決まりますが、骨の影響も大きいですよ。
しっかりした骨か華奢な骨かによって、選曲は変わります。
それを踏まえて選ばないと、指や手に故障が出ることがあるからです。
私は学生の頃とにかく言われたままの曲を必死に練習していましたが、
教えるようになってからは、その子の骨格を考えて選ぶようになりました。
腱鞘炎とか腕の痛みとか、これは絶対避けてあげたいんですよね。
無茶なことをさせないように、そしてストレスのかかる練習をさせないようにと
いつもそれが根底にあるといってもいいくらい。
私は162センチで小さい方じゃないけれど、手は意外に小さめで苦労してきました。
なのにリストやラヴェル、プロコフィエフなどを試験曲にやってたから、
今思えば、そりゃ大変だったねーよく弾いてたねーと思います。
物理的な条件は仕方がないけど、あなたにぴったりの曲が必ずあります。
それが何百年前からずっと、あなたを待っていますよ♪