2014.08.05
演奏するうえで大事な“イメージ”
楽譜の通りに音を鳴らせば曲になりますが、
それは音楽じゃなくて音の羅列。
だから、羅列じゃなく
音楽になるように表現するのですが、
ここで大事なことがイメージ。
その曲をどんなふうにとらえて表現するか?
それは、
その人によって違ってきますね。
同じ曲を、違うピアニストで聴き比べてみると一目瞭然。
テンポも音色も印象も、演奏家によって変わってくるでしょう。
もちろん、それでいいのです。
同じ曲でも、弾き手によって違ったものになる。これは当然。
さて、
同じ曲なのにどうして印象が違ってくるのかといえば、
それは持つイメージが人それぞれ違うから。
では、
イメージはどうやって作られるのか?
イメージは目に見えなくて感じるもの。
それを紡ぎだしてくるのは、
その人の年齢や環境、経験、考え、感じ方、意識や無意識なども
有形無形にかかわっています。
たとえば、
10歳の女の子で3歳の妹がいるという場合と、
10歳の女の子で15歳の兄がいるという場合では、
同じ10歳の女の子でも環境も感じ方も経験も心持も、全然違ってきますよね。
だから、
性別や年齢や取り巻く環境や、もちろん本人が経験してきた内容も違うので、
そこから導き出されるイメージ=発想は変わってくるわけです。
もしここに双子の姉妹がいて、同じ服を着て同じ環境で育ってきたとしても、
‘A子は、B子がいるという環境’であり、
‘B子は、A子がいるという環境’で育つので、全く同じにはならないのです。
遺伝子がほとんど同じ一卵性双生児でも、
全く同一の環境と経験をする人はゼロなのです。
それだけを考えても、同じ発想をする人間がいなくて当然。
そこに、どんな本を読み、どんな経験をし、どう感じて今日に至るか。
それはもうその人だけの発想が生まれて当然なわけですね。
音楽も絵も、芸術といわれるものは“知性の極み”とも言われています。
その人のすべてが、イメージ=発想に現れるといっていいでしょう。
ひいては、その人の精神や価値観、生き方さえもが表現されるかもしれません。
“いい演奏”には、“いい精神”が含まれていますよ。
技術だけじゃなく、あなたの“いいもの”が発露されますように・・・♬