2021.11.22
11月21日、
福島市音楽堂でクリスチャン・ツィメルマンのピアノリサイタルがありました。
1975年のショパンコンクールで優勝、
18歳の彼は美しい少年でした。
といっても、
私もまだ子供だったから写真で見ただけですが。
彼の演奏を聴いたのは初めてかも?
開場が少し遅れたのは、
ご本人のリハーサルが長引いたため。
そしてさらに
なんと本番で使うピアノは、彼自身の持ち込みのピアノ。
ピアノって大きいからなかなか運べません。
だから
ピアニストたちはホールにあるピアノで演奏しますが、
ツィメルマンはご自分のピアノを運んできて
かなり楽器や音に対するこだわりがあるとのこと。
これ、むかーしには聞いたことがありますよ。
巨匠は自分のピアノを運び込んで演奏するっていう話。
でもそれは伝聞でしかなかったのですが、
今回私は初めてそれを目撃したわけで、さすがにびっくり。
そしてその演奏、音色の美しいことといったらもう。。。
気負いなくさらりと弾き始め、
バッハのパルティータ1番2番は、祈りをささげるような厳粛さとピアノとは思えない音色。
ブラームスop117はきっとご本人が弾きたかったのでしょうね。
この117の3曲はほとんど聞いたことがないくらいに地味な作品。
でもそれを、
丁寧に真摯に弾きあげました。
最後のショパンの3番ソナタ、意外にもこれが一番大味な感じ。
でも3楽章の静かなさいごの音が減衰していくまで、
気持ちが行き渡っていて圧巻。
ホール中が感銘を受ける演奏となりました。
演奏もステージ上のご様子も、本当にジェントル。
アンコールはなしで残念でしたが、
どの曲も細部まで磨かれた繊細な演奏でした。
今回のブラームスだけ、私は弾いたことがなかったけれど
パルティータもソナタも、自分とはまったく次元の違う演奏で感服。
すばらしい夜となりました。
こういうステージを聴くと、いかに自分が鈍っているか気づかされますね。
少しでも磨いていけるようにがんばろう。
そんな気持ちになったステージでした♬
私はよく、リサイタルを聴くとすごく疲れて頭痛になったりしてました。
それは、その演奏を分析するような聴き方をしているから。
だから、楽しいとかそんな気分じゃなかったんですよね。
それに気づいたのは、娘のひとことから。
「ホールに行くってワクワクするよね。日常とはちがう、きれいなものに出会えるところだよね」
・・・・・そんな風に考えたことなんかなかったなぁ。。。
でもふつうはみんなそういう気持ちでコンサートに行くものなの?
「そりゃそうだよー。なんか楽しみだし素敵な感じだし」
ふーん、そうか。。。。
ということで、
立場上、今までピアノは“勉強”と思っていたけれど、
楽しいものと思えるようにしていくことを目指すようになりました。
確かに生徒たちには、ピアノを弾いたり聞いたりするのは楽しいと思えるようにレッスンしてきたはずなのに、
プロ意識が強すぎたのか私自身は、楽しいというレベルじゃなかったのよねと。
少しずつ自分へのタスクが柔らかくなってきているみたい。
もちろん昨夜は頭痛は起きず。よかったー♪