2018.12.16
今朝のNHKで
左手で弾くピアニストたちの番組を
たまたま見ました。
左手だけで弾くということを越えて、
みなさんの演奏は私の心をノックしてきました。
病やけがで両手をうまく使えなくなることは、誰にでも起こりうることですね。
左手のピアニストとして有名な舘野泉先生もそうですし。
小3の男の子や、60歳代の女性、そのほか演奏しているみなさんを拝見し、
誠意のある、なんていい音色だろうかと深く感銘を受けました。
先生という仕事をしていると、上達最優先になりがちですが、
たとえば左手だけでも、これだけ心に届くピアノが弾けるというのは
なんと素晴らしいことかとしみじみ・・・
眼を閉じて聴くと、左手だけの演奏とは思えないほど豊かな音楽。
自分自身と向き合って、誠意と心を受け取れること。
ピアノの、音楽の原点さえ感じさせられました。
テクニックも大事、音色も大事、表現も大事、
でも、
何より演奏する人の真摯な気持ちが一番大事。
そういえば牛田智大くんのピアノもそうでした。
ピアニスティックなものも本当にすばらしく、
そして何より、彼の心を聴く人に届けるという演奏の極みがありました。
ちょっとしたミスがあっても、その心を受け取れる演奏を聴きたいのですね。
いい演奏とは、あなたの心をピアノに託すこと、それが一番大事ですよ♬
60歳代の女性が、「ピアノをやれたのは母のおかげ。感謝している」と。
私は母を亡くしてから、それをつくづく感じるようになりました。
ピアノというものは幼児から始めることが多いですよね。
それは子どもの意思だけでは如何ともしがたく、親の理解と協力が絶対必要。
子どもの習い事というのは、親が習わせる気がなければ、子どもに与えないということになりがちで。
そういえば私は、子どものころから「ピアノが弾けていいね」と言われたものでした。
でも当時は、弾けて当たり前だったし、ピアノを与えられたということに気づくこともなく。
今思えば母がいたからこそ、ピアノを弾くことができたんですね。
そして、さらにうまくなりたいと思ったときに、音大の先生を探してくれたことも、
母の力なしでは叶わなかったこと。
レッスンを始めるのも先生を選ぶのも、まずは親御さんの選択だから
いつかお子さんがおとなになったときに、「わたしのために先生を探してレッスンさせてくれたんだね」と気づくときがくるでしょう。
親の愛情というのは、あとから気づくもの。
私も遅ればせながら、母が亡くなってからそこここで気づきがやってきて、
そしてそれは感謝だけでなく、私を温かい気持ちにさせてくれているのです。