わきやまピアノ教室

息子のグレード試験の日でした。

いつも通り
朝からピアノに向かっていました。
少しして、音がしなくなったので、
終わったのかなと思っていたら、
突然目の前に現れて
「今日、もし合格しなかったらどうしよ」
と、涙目でそこに立っていました。

私自身、
これまでのピアノ人生の中で、
恐らく最大のスランプだったなと思うのは、
ウィーンから帰ってきて、
順調に演奏活動をスタートし始めた頃でした。

どんな舞台に立っても
必ず失敗するという時期がありました。
ミスタッチをするとか、
ちょっと弾き直すとか、
そんな甘っちょろいスランプではなく、
完全に音楽を止めてしまうような、
そんな演奏しかできない時がありました。
今考えただけで、身体が震えます。

それでも仕事を得なくてはいけなかったので、
身に付けたのが
「むちゃくちゃでも弾き続ける」
という、とんでもない技でした。

もちろん、
むちゃくちゃ弾くといっても、
そのむちゃくちゃさの
筋を通さなければいけないという
わけのわからない根性で、
音楽理論を基に、コード進行だけは
バッチリ身に付けました。

間違ってはいるけど、
変な音は鳴らさない…
というわけのわからない力を付け、
乗り切ろうとしたのですが、
もちろんそんなに甘い世界ではなく
仕事はどんどんなくなりました笑。

息子はこの数年、
多くの場所で、
その演奏を認められ始めています。
そんなことを少しずつ
見えない何かに圧力を感じているのかもしれません。

今日もし合格できひんかったら、
次の機会に再受験するもよし、
もう受けるの止めるもよし、
ピアノ辞めるもよし、
その時に決めたらええねん！
今日までの練習成果が出るだけ、
大した問題ちゃう。
結果が出てから考えたらええねん！

そう抱きしめてやりました。
エラそうなことを言いましたが
気持ちが500%くらいわかってしまうので、
可哀想で仕方なかったです。

しばらく私の胸に抱かれて
涙を拭った後、
再び練習に戻るのかと思いきや、

僕、今日まで練習したから、
大丈夫やと思えてきたわ。
頑張るわ。

と、とっととピアノの蓋を閉めてました。

ナンジャソレ〜((((；ﾟДﾟ)))))))

前向きにしてやれた私の声かけは
成功だったのかもしれないけど、
息子よ…

甘いわ！！！！！(￣▽￣;)


緊張やプレッシャーに勝つには、
誠実な練習しかないとわかったのは、
私も大人になってからだったし、
大きな失敗を重ねてからだったし、
我が子に
そんな経験はさせたくないなと思うけど、
そんな経験をして乗り越えてでしか
強くなれないのかなと思ったり。

いろんな
音楽人生があります。



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