わきやまピアノ教室

親しいピアノ先生仲間から聞いた話です。

レッスン開始から数ヶ月の
幼児の生徒さんのお母様より
退会のお申出がありました。
理由は
「遠くて送迎がしんどい。
近くの教室に変わる」と。
自転車で10分ほどの距離だったのですが…
まあ、本当の理由はどこかにあるにしろ
問いただすこともしないまま、
仕方ないと思えたので、
残念ながら退会の手続きとなりました。

レッスンの流れで、
次の先生に引き継ぎがあった方がいいかなと思い
「次の先生は決まってますか？」と
伺ったところ
「このレベルなら私が教えられるので
しばらくは私が家で教えます」と。

唖然としたそうです。
あまりの驚きに
返す言葉も見つからず
「そうですか」としか応えられなかったと。

「送迎がしんどい」のではなく
自分の力不足で退会となってしまったんだと
ハッキリしてしまいすぎて
落ち込んでいらっしゃいました。

とんでもありません！！
親しい仲間だから擁護するわけではありませんが、
その先生は、私よりもずっとずっと
幼児導入期のレッスン研究をされていて
経験もおありで、
何度か見学もさせて頂きましたが、
その子その子に合わせた
本当に丁寧で楽しいレッスンをされる
素晴らしい先生です。

幼児レッスンの導入期は、
ピアノの前に歌を歌ったり
リズムを楽しんだり、
時には踊ったりと、
一見「これ、ピアノに関係あるの？」と
思ってしまう場面が多いレッスンかもしれません。

あるんです！
大いにあるんです！！

私たちピアノ指導者のプロは
昨日今日を大切にしながら、
全てのレッスン生に対して
「継続」を想定し、
3年後、5年後、10年後の音楽人生が
豊かなものとして過ごしてもらえるよう
歌もリズムも踊りも取り入れているのです。
その中の一つ一つに
将来に繋がる深い意味があるのです。
子供が楽しんでいることに目がいきがちで
「遊んでいるだけなのでは？」と
思われる場面があるかもしれませんが、
私たち指導者のプロは
そのことも含めて全てが
「学び」に繋がるレッスンを行なっています。

もちろん、その事を
生徒さん自身やお母様に
キチンと伝えきれていなかったことに
問題はあると思います。
でも
「そのレベルなら〜」は
あまりに悲しすぎる言葉で
残念すぎる
退会の真相となってしまいました。

その昔、10年位前の話になるでしょうか。
小学6年生で退会となった子が中学生になり、
風の便りで
小さい子を集めてピアノを教えている
という噂を耳にしました。
驚きました。
もし、在籍していたら、
親御さんも含め、
長い長い説教をしていたと思いますが、
私の性格を知って
退会したのかも…と思うと
本当に残念で思うしかなく、
今でもフト
あの子はどうしてだろうか、
そこに集まった子供たちは
どうなったのだろうかと心配になることがあります。

幼児の導入期レッスンの大切さ、深さを
もっともっと伝えていかなくてはいけないと
強く思う出来事でした。


わきやまピアノ教室