2013.10.10
「坊主失格」(小池龍之介著)若いお坊さんということは知っていましたが、著書ははじめて読みました。
東大卒業して、ウェブサイト「家で空間」を開設。現在、自身の修業を続けながら、一般向けの座禅指導、講演、執筆活動を行っているという新しい世代のお坊さんです。
彼が、どういう経緯でお坊さんになったのか、ひりひりするような自意識過剰で、愛情を求めて、空回りしてまわりとうまく交流できなかったこれまでの成長の様子を、さらけ出して書いてあります。読んでいて、しんどくなるほど。
いわゆる手がかかる、扱いにくい困った子ども、と烙印を押されていた子ども時代のこと。
水泳教室でも、オルガン教室でも、いつまでもできなければ親と一緒にいられる、できるようになれば親は安心してしまい、見守ってくれなくなるんではないか、見捨てられるんではないか、とかまって欲しいばかりに困った行動をして、親にやめさせてもらうというくだりは、心に残りました。
どうしてだか、そんな行動をしてしまう・・・トラブルを起こす行動の裏は、いろいろなことがあるんでしょう。表面だけで判断はできないですね。
道化を装って友人を作ろうとしてきた学生時代、キャラを装わないと、人とかかわれなかったというのは読んでいて心が痛かった。
大学では反動のように、女性関係に自分のよりどころを見つけようとしますが、自分が安定していなければ、恋人との関係もうまくいかないものでしょう。
いろいろな女性と付き合って、一時的には幸せを感じても、すぐにさみしさはもとに戻ってしまったといいます。
結局、自分自身の問題だ、と気づいて、少しずつ自分をとりもどしてきたこれまでの人生を書いてあります。
東大に行けるほど頭が良くても、感受性が鋭くても、恋人がたくさんいても幸せとはいえない。
幸せってなんでしょう。
今あることに感謝することと、多分結びついているんではないかと思います。