2012.04.11
いわさきちひろ美術館を、てさぐりで立ち上げた松本由理子さんの、「ちひろ美術館ものがたり」を読みました。
4人の子供を育てながら、夫がちひろの息子だった縁で(後に協議離婚)、美術館運営にかかわっていくようになった女性の奮戦記です。
彼女は、芸大で音楽を勉強していたのですが、畑違いの美術の世界で仕事をすることになりました。美術の専門的な勉強をしてきてないことにコンプレックスをいだいていた彼女は、ちひろ美術館の館長である飯沢匡氏に尋ねました。
「どうして、飯沢先生はこの絵はいい絵だ、これはダメですねって一目でおわかりになるのですか」
「情報量の違いですよ。たくさん見れば、自ずからどれがよくてどれがよくないか、わかります。感性は発展するものなんですよ。たくさんいいものを見なさい。悪いものをいくら見てもダメですよ。情報量が多ければ多いほど、完成は発展します。」
飛び上がりそうになるほどうれしかった、と彼女は書いています。
とかく、才能のあるなしで片付けられそうな芸術の世界ですが、いいものを見る、音楽でいえばいいものを聴くことで感性は伸ばせる・・・私にとっても勇気づけられる言葉でした。
また、幼い時からほんものに触れることがいかに大切か改めて思いました。