2019.08.02
コンクール・入学試験・検定試験では暗譜が必須です。
発表会でも、暗譜で演奏するのが一般的です。
しかーし!
私がいま学んでいるチェンバロ等の古楽では、暗譜は必要ではありません。
むしろ、リピート時に装飾や即興を入れて演奏することが重要なので、
楽譜は見ながら演奏したほうが便利です。
音符の並びを見ていると、
「あ、ここでトリルがいる」
「ん? ここは経過音を入れないと」
など、いろいろ気付くからです。
モダンピアノの発表会でも、暗譜はしなくていいんじゃないかな。
最近、そう思います。
「どれだけ人々の心に届く演奏ができるか」
「どれだけ自分の思いを込められるか」
ということと、
「どれだけ長い曲を丸暗記できるか」
ということは、まったくの別モノだからです。
表現力と記憶力はまったく別モノです。
譜めくりのタイミングで音楽が停滞するのは困るので、
その点だけ計算できていれば、
楽譜を見ながら弾くかどうかは、自由じゃないかな。
すでに学校教育現場では、
「AIの発達により、記憶・暗記は必要なくなった
(=年号や人名なんかググれば済む)」
として、情報そのものを知識として蓄えることよりも、
その情報をどのように選択し、どのように使うかという能力の育成を重視しており、
思考力・判断力・表現力や人間性の涵養に力を入れ始めています。
日本学術会議等も、
日本史・世界史や生物は暗記科目ではなく考える学問だと訴え、
教科書に掲載する重要語を半分あるいは4分の1にまで削減するよう提言し、
文科省はその提言を受けて新指導要領を策定しました。
ピアノも、暗記なんか必要なくね? なくね?
それより、音符の配列を見つめ、楽譜の行間を読み、
このスラーは何? このテヌートはどうして?
と、考えながら弾きましょうよ。
練習しているうちに覚えちゃった、だから本番は楽譜を見ないで弾こうかな!
何回弾いても新しい発見がある、だから本番でも楽譜を見ながら弾くね!
どっちでもOKじゃない?
好きなほうを選ぼうよ。