594. 曲想
2014.01.30
楽譜には、強弱記号や速度など外面的な標語の他に、作曲家が「こんな風に演奏してほしい」表情や心理といった内面的な曲想標語が書かれています。バロックと呼ばれる時代は、このような標語が少なく、これは当時作曲家イコール演奏家であったことも理由に挙げられると思います、自ら指揮・演奏することが多く、曲想などは口伝えで広がっていったのでしょう。古典派の時代もこの傾向がありましたが、標語が頻繁に使われるようになります。モーツァルトも書き込みが多くみられる作品がありますが、副題としてカンタービレ(歌うように)と書かれていても、曲の途中ではまだまだ速度・強弱に関する外面的な指示が主でした。若い頃、アド・リビトゥムの表記をみつけた時「モーツァルトなかなかやるやん!」と思ったことがあります…ポピュラーで言うアドリブと同じく「任意に」の意味ですが、その任意さとは、指示された拍子外の細かい音符を、そこそこ自由なテンポで収めよ~のニュアンスであり、残念ながら即興を入れるほど自由奔放な任意さではありませんでした=そりゃそうですね(バッハの時代でも、書いていないだけで、このような演奏をする箇所は、よくみられます)。古典派からロマン派への橋渡しの時代を築いたベートーヴェンの作品では、曲想に関する標語がよく使われるようになります(続く)。