2020.01.20
先日の生徒さんのレッスン。フリードリッヒ・フランツ・ブルクミュラーの「タランテラ」でした。1806年、南ドイツに生まれ、26歳でパリに出て、1874年に死ぬまでフランスで過ごしたこの人について情報は少なく、むしろ弟のノルベルトの方が作曲家として名が知られ、シューマンも絶賛した程でした。兄のフランツは主にピアノ練習曲や小曲しか書かなかったにもかかわらず、今日では子供達に親しまれる作曲家になりました。ピアノ教師として、弟子の為に練習曲を書くという、彼の持ち場に徹した事が、多くの人に親しまれ、忘れられない作曲家となったのでしょう。時代的にはショパンやメンデスゾーンなどと共にピアノ音楽の花が開いたロマン期に属する人です。「タランテラ」、この曲はイタリア南部のタラントの民族舞踊であるという説と、毒蜘蛛のタラントに噛まれた時、この踊りを踊ると治るという伝説から生まれたとされています。特徴である8分の6拍子で、速さはAllegro Vivo 、正にくるくると踊っている様子が目に見える様な曲です。始めはニ短調、中間部でニ長調に転調し、再びニ短調に戻ります。「タランテラ」のレッスンの前に、生徒さんにハノンでニ短調、ニ長調の音階と和音を弾いて貰いました。これで、曲の中にその音階や和音がどこにあるのか分かります。生徒さんは絵を描くのがとても上手なので、曲を聴くと色が見える人のお話をしました。実際、今まで会った中で1人居ました。例えば、ニ短調は錆びた黄土色、ニ長調は明るく、人を高揚させる黄色といった感じです。(確かに、ニ長調は祝祭的な明るさで、元気が出ます。)私にはこんな特別な感性は有りませんが、曲を聴くとイメージが浮かびます。子供の頃、「ブルクミュラー25の練習曲」を弾く度に、遠くからその情景を見ている様な、入り口に立っている様な感じがしてワクワクしました。皆さんは音楽を聴くと、何か見えますか。