2020.01.08
今から30年くらい前、生徒さんと、永遠のお別れをしました。高校生になったばかりで、まだ15か16歳でした。急なご病気で、レッスンを休まれていて、まさか亡くなるとは、本人は元より、周りの方も思っても無いことでした。勉強がよくできて、県内トップクラスの高校に入学されたばかり。半信半疑でお通夜、葬儀に行きました。遠くからピアノの音が聞こえました。「あっ。Rちゃんが弾いてる!」まさにレッスンで弾かれた曲でした。私は呆然としていて、Rちゃん演奏の録音だったのか、演奏家のCDだったのかお聴きする事も無く、お母様にお悔やみを申し上げました。お母様は「Rが一番好きな曲で、送ってやりたいと思いまして。」と仰いました。私はRちゃんが、いつにも増して熱心に弾き込んでいるのを思い出しました。そうだ!好きって言ってた。泣きながら、次々といろんな事を思い出しました。その曲はメンデルスゾーン作曲の「無言歌集」の中の一曲で、「ベネツィアの舟歌」。その曲を弾く度に彼女を思い出します。彼女に好きな曲があって良かった。今、彼女を思い出して、あの世から、「先生、お久しぶりですね!」って言われてるみたいです。今も、ピアノを弾いて楽しんでいたらいいなと思います。