2019.05.13
5月9日(木) 伊藤楽器ののミュージックシアターにて、久保春代先生によるスオミ・ピアノ・スクールのセミナーがあり受講して参りました。日本語版監修にあたられた舘野先生が特別ゲストでいらっしゃるとの事で、とても楽しみにしていました。
スオミはフィンランドの自然(冬が長くて厳しいので自然に対して謙虚である事)や社会保障の充実などの環境から、すぐに結果を求めない先を考える長い目の教育を、という考えから生まれた教材との事でした。
生徒と先生のコミュニケーションを通じて信頼関係を深める事から始まり、子どもの自由な発想を尊重しつつ進められるそうです。奏法や楽典要素などはウサギの可愛いイラストで分かりやすく書かれ、指導者と生徒がアクティブに楽しみながら進められるようです。演奏を交えての久保先生の解説は大変分かりやすく、指導法に関してもとても勉強になりました。
そして舘野先生のご登場。実は30年も前の事ですが、千葉のカワイ主催の舘野先生のリサイタルの後のお食事会で、お話させていただいたことがあるのです。私の音高時代のクラスメートで、長年久保先生に師事していてフィンランドに移住しているその方を舘野先生もよくご存知で、大変気さくにお話して下さいました。
落ち着いた温和な話し方は今もお変わりなく、ファンの一人として嬉しく思いました。
学生時代のスランプのお話だけでなく、ご病気やケガなどを経験され現在の生活に至る迄の経緯を聞き、華々しいピアニストとしての長い人生の裏でのご苦労は、私の想像をはるかに上回るものだろうと感じました。
左手のピアニストとしてご活躍中の先生は3曲も演奏して下さり、こんなに聴かせて頂いて良いのかと思いつつも、その澄み切った音色に涙が出ました。
私も先生と同じ指の疾患を持っているので、勇気も頂きました。30年前に頂いた右手をかたどったサインは、これからもずっと宝物です。
実り多い幸せな時間でした。